ぱんと小気味良い音がして、続いてことりと何かが倒れる音がした。
やった、また当たったよ!と大いにはしゃぐ大きな子供を、
イギリスは呆れ顔で見やった。
(そりゃそうだろうよ。お前の射撃の腕は疑ってねえよ)
大喜びする子供とは反対に、射的屋の親父は青い顔をしている。
金魚掬いとは違って射的は一回ごとにお金を支払っている。
当て続けたからといって、一回ごとのお代は確実に入るのだ。
客である以上文句を言うことも出来ず、親父はただ途方に暮れている。
(一撃必中じゃあ、儲けも何もないよな)
困惑する親父には気付かず、無邪気にアメリカが振り返った。
訴えるような視線と無意識の眼差し。
――ああ、馬鹿だ、と、イギリスは思う。
こんなことで嬉しいと思う自分がいる。
過去の記憶は息苦しさと、懐かしさ、そして寂寥感を感じさせる。
「もう、気が済んだだろ。そろそろ行くぞ」
「えっ、でもまだ、」
「アメリカはすごいな」
「――っ」
言葉と共に頭を乱暴に撫でてやる。
はじかれたように驚いたアメリカの顔を見て、また馬鹿だなと思った。
なんで、と、動いた唇は音を紡がなかった。
例え聞かれたとしてもイギリスは答えるつもりはなかったが。
「ほら、向こうで日本が待ってる」
「う、うん」
屋台を後にした二人に言葉はなかった。
――ただ繋がっていたのはお互いの手のひら。
おしまい。
・・・・・・・・・・・・・・(´∀`)